ドゥカティ Multistrada 1200S

うっちぃ

2012年07月02日 10:33


人間というのは欲の深い動物で、何かと自分の都合のいいものが欲しくなるものだ。
今、話題になっている原発の問題にしても、問題があるにもかかわらず(問題が解決していないにもかかわらず)
生活する上で電力が必要だから、原子力発電を再稼動させている。

本来はそうあるべきものではないと分かっていながら、あれも欲しいこれも欲しいとなるわけだ。
ただ、それはいけないことなのだろうか・・・・?

例えば、医学の進歩により平均寿命が伸びている。
もちろん、これにも賛否両論あると思うのだが、人間が病気になったり、病気で死ぬということはある意味で自然の摂理だ。

ただ、あらゆる研究・努力の結果で不治の病と言われていたような病気も完治するようになっていきている。
これは自然の摂理に反することなのだろうか?
人間の努力として賞賛されることなのだろうか・・・・?

変な出だしになってしまったが、
私が言いたかったのは、本来あるべき姿、キャラクターがあって
それをかたくなに守った方がいいのか? それても改良していった方がいいのか?

人間に限らず、バイクにだって個性がある。
よく言われるのが、乗りやすく便利になると、個性が薄れたとか、つまらなくなったという意見だ。

確かにうなづける点はあるのだけど、乗りやすく便利になることは決して悪いことではないと思うのだが・・・・・
まあ、これは人それぞれ感じ方の違いなので自分がどう思えるかがポイントなんだけどね。


さて、今回試乗したのがDUCATI Multistrada 1200Sだ。

ドゥカティと言えばレーシングマシン、オンロードの雄というイメージが強くて
今流行のマルチパーパスとかアドベンチャーとか言われているジャンルのバイクがあるというのはどうもピンとこない。

ピンとこないのは私だけなのかもしれないが、やっぱりDUCATIはオンロードマシンのイメージが強い。

だけど、バイクに用途にはいろいろあるわけで、
まして一台しか所有できないとなると(多くの場合は経済的・スペース的理由から1台所有が多いと思う)
1台のバイクに、あれもこれもと多くの望んでしまうんじゃないだろうか。

そして、いろんな要望を詰め込むとなんだか、中途半端なものが出来上がってしまうとか個性が薄いとかということになりかねないわけだ。

となると、個性の塊であるDUCATIにしても、牙を抜かれたようなバイクになっているのだろうか?
そんな思いで、Multistrada 1200Sにまたがってみた。

さて、アドベンチャーというからにはオフロードの走行も考慮しているわけなので、どうしてもサスストロークは長くなり、当然ながら背も高くなるわけだから足着き性も悪くなるはずだ。もちろんMultistradaも例外ではなく、やはり足着き性は典型的日本人の中年オヤジ体型である私には厳しいものがある。
いわゆるつま先立ちという感じだ。

エンジン始動すると、空冷のモンスターシリーズに比べれば大人しいものの、やはりドゥカサウンド健在と言えるほどの逞しい重低音が鳴り響く。静かで閑静な住宅街ではちょっと気が引けそうな音である・・・・(笑)

足着き性に不安を抱えながらもスタートしてみる。いざ走り出すと足着き性は関係なくなるので、できることなら信号は常に青でいてもらいたいのだが、世の中そんなに都合よくいくものではないわな。

Multistradaのエンジンは水冷となるのだが、やはりというか当然というか、モンスター系の空冷エンジンとはまるで違うフィーリングがある。音もそうなのだが、最初に感じるのは低速トルクだ。

お世辞にも低速トルクが太いとは言えないが、これだけあれば流し乗りでも問題はないというレベルになっている。要するに街乗りでも気難しいところがほとんどなく、普通に乗れるというわけだ。
本来バイクの性能を語る上ではどうでもいいことかもしれないのだが、現実には街乗りをするし、渋滞にだってあうことがあるわけで、私にとっては結構重要なポイントでもあるわけよ。

うんうん、これなら俺でも乗れるじゃん・・・・。
ちょっと安心できるのである。

ただし、DUCATIはやっぱりDUCATIなのである。
ひとたびアクセルをふかすと、紛れもないDUCATIパワーでグワァァァァ~ンと強烈な加速が始まる。

ただ、このMultistradaというバイク、凄い加速なんだけど、どこか安心感があるというのか、何がどうなって、その安心感に繋がっているのかは分からないけれど、モンスターとは違う味付けというんでしょうかねぇ。安定感というか安心感があるんですよ。

そしてアドベンチャーということでサスペンションのストローが大きいからなのか、乗り心地もなかなかグッドなんだよね。
ただし、フワフワしていいるとかいう感じではなくて、しっかりしているという感じで、そんなに攻め込まなくてもサスペンションのストロークを感じれるという意味。

低速トルクが増えてエンジン特性としては乗りやすいんだけど、それでもドゥカはドゥカでね。加速する時の迫力はドゥカそのもので国産4気筒のクワーーーンというスムースな回り方とは全然違います。

ドゥカドゥカドゥカドェガァァァァ~ッというトルクフルなパワーで回しているという力強さがみなぎっているわけよ。
このあたりは、まさにドゥカで、こういう雰囲気がドゥカ乗りにはたまんないんでしょうねぇ。
それにしてもパワー有り過ぎです。

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